「毎週同じことをしているから、自動化したい」と思っても、どこから手を付けるかは意外と決めにくいものです。
このサイトでも、記事を書く、リンクを確認する、サーバーへ反映する、アクセスを集計する、広告の審査状況を見る、といった作業が並んでいます。最初は全部を一つの流れにしたくなりましたが、外部サービスへの送信や、人が判断しないといけない作業まで混ぜると、失敗したときの影響が大きくなります。
そこで、まず1週間分の作業を8項目で棚卸ししました。実際に分けてみると、「繰り返す検査」は自動化しやすく、「判断を伴う送信」は人に残したほうがよい、と境界が見えやすくなりました。
先に結論
最初に自動化する仕事は、いちばん時間がかかる仕事とは限りません。
私なら、次の条件が揃うものから選びます。
- 毎回の開始条件が同じ
- 入力と出力の形が決まっている
- 例外が少ない
- 失敗しても元へ戻せる
- 完了したかを機械的に確認できる
逆に、契約、決済、本人確認、外部への最終送信のように、間違えたときの影響が大きい作業は、途中まで自動化して最後を人に残します。
ツールを選ぶ前に、1週間だけ作業の形を記録する。この順番にすると、GAS、AI、外注のどれを使うかも決めやすくなります。
棚卸しに使った8項目
作業名だけでは、自動化できるか判断できません。「アクセス解析を見る」でも、毎回同じ数字を表へ写すのか、数字を見て記事の方向を決めるのかで中身が違います。
私は次の8項目へ分けました。
- 開始条件 — いつ、何をきっかけに始めるか
- 入力 — 何を受け取るか
- 手順 — 今はどの順番で進めているか
- 出力 — 最後に何が残れば完了か
- 頻度と件数 — 週に何回、何件あるか
- 例外 — いつもの手順から外れる条件は何か
- 人の判断 — 誰が何を決めているか
- 失敗時の影響 — 戻せるか、相手へ送信されるか
時間は「何分かかったか」だけでなく、途中で止まって考えた回数も残します。作業時間が短くても、毎回判断を切り替える仕事は負担になりやすいからです。
そのまま使える1週間の記録欄
スプレッドシートでも紙でもよいので、作業をした直後に1行だけ追加します。
【作業名】
【開始条件】
例:記事の公開ファイルを作成した直後
【入力】
例:公開予定URLの一覧
【現在の手順】
例:URLを開く → 表示を確認 → タイトルとリンクを確認
【完了時の出力】
例:確認結果と問題があったURLの一覧
【頻度・件数】
例:週2回、1回20ページ前後
【例外】
例:ログインが必要な画面は確認できない
【人が判断すること】
例:表示崩れを許容するか、公開を止めるか
【失敗時の影響】
例:検査だけなら外部送信なし。公開後の修正は読者へ影響する
最初から正確に書こうとすると続きません。1週間は「実際に行った作業」だけを残し、あとで似た行をまとめます。
実際のサイト運用で分けてみた
このサイトの運用では、公開前の検査、サーバーへの反映、広告サービスへの申請を別の作業として扱っています。
公開ページのリンク検査
- 開始条件: 公開用ファイルを作った後
- 入力: ページURLと想定タイトル
- 出力: 応答状態、タイトル、内部リンク、PR表記の確認結果
- 例外: ログイン後だけ見える画面
- 人の判断: 問題が出たページを公開するか
- 失敗時の影響: 検査だけなら外部への変更なし
この作業は入力と確認項目が決まっており、同じ検査を何度も行います。機械で確認しやすい部分です。
広告サービスへの申請
- 開始条件: 案件と直接関係する記事が公開済み
- 入力: 媒体情報、掲載予定記事、申請内容
- 出力: 申請済みの記録
- 例外: 審査中の表示が遅れる、再ログインが必要になる
- 人の判断: 規約への同意、登録情報、送信してよいか
- 失敗時の影響: 重複申請や誤った情報の送信につながる
入力欄の準備や記事の検査は進められますが、最終送信まで無人にするのは向きません。画面表示と記録が食い違ったときは、再送せず一度止める条件も必要です。
記事の事実確認
- 開始条件: 原稿が完成した後
- 入力: 原稿、出典、実測記録
- 出力: 公開できる原稿と確認を終えていない項目
- 例外: 本人しか確認できない操作や体験
- 人の判断: 体験の表現、推奨してよい範囲
- 失敗時の影響: 誤情報や誇張表現の公開
これは全部を自動化するより、出典URLや禁止表現の確認を機械に任せ、本人の体験と最終判断を残す形が合いました。
自動化候補は点数より「止めやすさ」で選ぶ
棚卸し後は、候補を三つに分けます。
すぐ試す
- 定期的な一覧作成
- 決まった形式の転記
- URLや必須項目の検査
- 下書きや確認用ファイルの作成
小さく試す
- AIによる文章の初稿
- 複数サービス間のデータ連携
- 条件に応じた振り分け
- メールや投稿の下書き作成
人に残す
- 契約、決済、本人確認
- 外部へ公開・送信する最終操作
- 例外が多く、毎回判断が変わる処理
- 間違えた後に元へ戻せない処理
自動化候補が複数あるなら、時間削減の大きさだけでなく、止めやすく、確認しやすいものを先にします。最初の一本で失敗時の扱いを決めておくと、次の処理へ広げやすくなります。
GAS、AI、外注を選ぶのは棚卸しの後
作業の境界が見えたら、ようやく手段を選びます。
Googleスプレッドシートの中で入力と出力が完結し、決まった処理を繰り返すならGASが候補になります。文章や分類のように、入力ごとに少し判断が変わるならAIを下書き役にできます。自分で作る時間が取れない、既存の仕組みが複雑、保守も任せたい場合は外注を比較します。
詳しい分け方は、AI・GAS・外注で請求業務を分けた記事にまとめています。外注候補へ相談する段階では、GAS自動化の見積り前に決めたい7項目も使えます。
最初の一つを決める
1週間記録したら、同じ作業が2回以上出てきた行を一つ選びます。
その中から、入力、出力、完了条件が同じで、外部送信を含まない作業を探します。最初は「全部終わらせる自動化」ではなく、「確認用の一覧を作る」「下書きまで作る」でも十分です。
私なら、最後に人が確認でき、失敗しても元データが残る作業から始めます。まず次の1週間、繰り返した作業を一行ずつ記録してみてください。
出典・関連資料
この記事の確認情報
最終確認日:2026年9月23日
確認に使ったもの
- hitori-tool.comで記事制作・検査・配信・広告申請を分離した運用記録
- 開始条件・入力・出力・例外・判断・失敗影響を記録する自作テンプレート
参照した公式情報
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